「1月31日の1か月後はいつですか」と聞かれたら、どう答えるでしょうか。
2月28日でしょうか。それとも1月31日に30日を足して3月2日でしょうか。あるいは31日を足して3月3日?
この問いには法律上の答えがあり、答えは2月28日(うるう年なら2月29日)です。そしてその理由は、「〇か月」という期間が日数では数えられていないことにあります。
週・月・年は「暦に従って計算する」
期間の計算を定めているのは民法143条です。
週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
「暦に従って計算する」——つまり日数に換算しないというのが出発点です。
日数に換算しようとすると、そもそも成立しません。1か月は28日・29日・30日・31日のいずれかで、月によって長さが違います。1年も365日か366日かで変わります。「1か月=30日」という換算は、便宜的な目安ではあっても正確ではありません。
暦で数えるとは、カレンダー上で同じ月日にあたる日(応当日)を見るという意味です。1月31日の1か月後なら、2月の31日——ということになりますが、ここで問題が起こります。
応当日がない月は「その月の末日」
143条には続きがあります。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
太字にしたただし書きが、冒頭の問いへの答えです。応当する日が存在しない場合は、その月の末日になります。
2月に31日は存在しないので、1月31日の1か月後は2月の末日、つまり平年なら2月28日・うるう年なら2月29日です。
具体例を並べてみます。
| 元の日付 | 1か月後 | 理由 |
|---|---|---|
| 2026年1月31日 | 2026年2月28日 | 2月31日がないため末日(2026年は平年) |
| 2024年1月31日 | 2024年2月29日 | 同上(2024年はうるう年) |
| 2026年3月31日 | 2026年4月30日 | 4月31日がないため末日 |
| 2026年1月15日 | 2026年2月15日 | 応当日がそのまま存在する |
このルールがあるおかげで、「存在しない日付」が答えになることはありません。
月末に寄せられた日付は元に戻らない
注意したいのは、この計算が往復で一致するとは限らないことです。
1月31日の1か月後は2月28日ですが、2月28日の1か月後は3月28日であって、3月31日ではありません。月末に寄せられた時点で「31日」という情報は失われます。
ただしこれは、前回の結果を次の基準にして1か月ずつ足していく場合の話です。数え方によって結果が変わります。
| 数え方 | 1月31日から3月を求めると |
|---|---|
| 前回の結果に1か月ずつ足す | 2月28日 → 3月28日 |
| 最初の日付から「2か月後」を求める | 1月31日の2か月後 → 3月31日 |
| 「毎月末」と定める | 3月31日 |
同じ「毎月」でも、基準を前回の結果に置くか、最初の日付に置くかで3日ずれます。月をまたぐスケジュールを設計するときは、この点を決めておかないと運用の途中で食い違いが生まれます。
「〇か月後」と「〇か月以内」の違い
143条2項の本文には、もうひとつ重要なことが書かれています。期間は「応当する日の前日に満了する」という部分です。
これだけを読むと「1か月以内は応当日の1日手前が期限になる」と思えますが、そうはなりません。初日を数えないルール(初日不算入)とセットになっているためです。
1月15日に「1か月以内」と定めた場合を追ってみます。
- 初日は数えないので、起算日は1月16日
- 起算日の1か月後の応当日は2月16日
- 143条2項により、期間はその前日=2月15日に満了する
一方「1月15日の1か月後」は2月15日です。つまりどちらも最終日は同じ2月15日になります。
「前日に満了する」という一見ややこしい定めは、初日を数えなかった分を最後で埋め合わせる仕組みだと考えるとすっきりします。日常の感覚どおり「1か月後の同じ日付まで」に落ち着くわけです。
違うのは日付ではなく意味のほうで、「1か月後」が特定の1日を指すのに対して、「1か月以内」はその日までの幅を指します。この関係は日数で数える場合も同じで、詳しくは「初日不算入」とは?契約書の「〇日以内」の正しい数え方で解説しています。
なお契約書に「契約日を含めて1か月以内」のように独自の定めがある場合は、そちらが優先されて1日ずれます。
「〇週間後」は素直に数えられる
週については、月や年のような例外がありません。1週間は必ず7日だからです。
- 2週間後 = 14日後
- 4週間後 = 28日後(1か月後ではありません)
週で定められた期間は日数に置き換えても結果が変わらないため、単純な日数計算で確認できます。「4週間後」と「1か月後」は近い日付になりますが別物なので、書類に書かれている単位をそのまま読むことが大切です。
実務で効いてくる場面
日数と月数の違いが表に出やすいのは、次のような場面です。
- 支払サイト:「月末締め翌月末払い」のように月単位で定められているものは、日数ではなく暦で追う
- 契約期間の自動更新:「1年ごとに更新」の応当日が2月29日にあたる契約は、平年の扱いを確認しておく
- 返品・キャンセル期限:「購入から1か月以内」は日数ではないため、月によって実際の日数が変わる
- 保証期間:「3年保証」は購入日の3年後の応当日が基準になる
いずれも「だいたい30日」で計算すると、月によって数日ずれます。期限が重要な場面ではカレンダーで応当日を確認してください。
このツールで「〇か月後」が計算できない理由
ぱぱっと日数計算は、「〇日後」「〇日前」の計算と、2つの日付の間の日数を数える機能を持っていますが、「〇か月後」を計算する機能はありません。
これは機能が不足しているというより、ここまで見てきた仕組みによるものです。このツールの計算は、開始日に日数を足し引きする方式で作られています。日を足していく計算に「1か月」を渡すには、まず1か月を日数に変換しなければなりませんが、その変換自体が成立しない——というのが本記事の内容そのものです。
月単位の期限を確認したいときは、次の手順が確実です。
- カレンダーで応当日(同じ月日)を確認する
- その日が存在しなければ、その月の末日にする
- 「以内」であれば、初日を数えるかどうかを契約書で確認する
日数が確定したあとの「何日後か」「間が何日か」の計算には、このツールをお使いいただけます。
まとめ
- 週・月・年で定めた期間は日数に換算せず、暦に従って計算する(民法143条1項)
- 「〇か月後」は応当日(同じ月日)。1か月=30日ではない
- 応当日が存在しない月は、その月の末日に満了する(143条2項ただし書き)。1月31日の1か月後は2月28日(うるう年は2月29日)
- 月末に寄せられた日付は元に戻らない。ただしこれは前回の結果を次の基準にして足していく場合で、最初の日付から数えれば元に戻る
- 「1か月以内」の最終日は、初日不算入と「前日に満了」が打ち消し合って、結局**「1か月後」と同じ日付**になる
- 週だけは例外がなく、1週間=7日で日数に置き換えられる
「〇日後」「〇日前」や2つの日付の間の日数はぱぱっと日数計算で計算できます。土日祝を除いた営業日で数えたい場合はぱぱっと営業日計算をご利用ください。
なお、この記事は民法の期間計算の原則を一般的に整理したものです。契約書に独自の定めがある場合はそちらが優先されますので、重要な期限については契約条項をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。