12月29日は祝日ではありません。それでも市役所や年金事務所は閉まっています。一方で銀行の窓口は、この日はまだ開いています。
どちらも「年末年始のお休み」というくくりで語られがちですが、休みを決めている法令がまったく別で、範囲もずれています。ここを知らないまま期限を見積もると、年末に手続きが間に合わなくなります。
祝日法とは別に、それぞれの休日を定めた法令がある
国民の祝日そのものは「国民の祝日に関する法律」(祝日法)が定めています。振替休日や国民の休日を含めた祝日のルールは祝日・振替休日・国民の休日 ── 3種類の休日のルールで解説しました。
ただし祝日法が定めているのは暦の上での休日だけです。「役所が閉まる日」「銀行が閉まる日」は、それぞれ別の法令で決まっています。
役所(行政機関)の休日
行政機関については「行政機関の休日に関する法律」があります。
第一条 次の各号に掲げる日は、行政機関の休日とし、行政機関の執務は、原則として行わないものとする。
一 日曜日及び土曜日
二 国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日
三 十二月二十九日から翌年の一月三日までの日(前号に掲げる日を除く。)
土日と祝日に加えて、12月29日から1月3日までが休みと定められています。年末年始の6日間です。
なお市区町村などの地方公共団体は、この法律ではなくそれぞれの条例で休日を定めていますが、同じ期間を休日としているところが一般的です。
銀行の休日
銀行については、まず銀行法本体にこう書かれています。
第十五条 銀行の休日は、日曜日その他政令で定める日に限る。
「限る」という書き方が特徴的です。銀行は自由に休業日を決められるわけではなく、法令で認められた日以外は営業しなければならない、という建て付けになっています。
そして「政令で定める日」の中身が、銀行法施行令の第5条です。
一 国民の祝日に関する法律……に規定する休日
二 十二月三十一日から翌年の一月三日までの日(前号に掲げる日を除く。)
三 土曜日
日曜は法律本体で、それ以外がここで定められています。年末年始は12月31日から1月3日までの4日間です。
年末の2日間だけ扱いが違う
2つを並べると、違いは年末の入り口だけであることがわかります。
| 日付 | 役所 | 銀行 |
|---|---|---|
| 12月28日 | 開いている | 開いている |
| 12月29日 | 休み | 開いている |
| 12月30日 | 休み | 開いている |
| 12月31日 | 休み | 休み |
| 1月1日〜3日 | 休み | 休み |
| 1月4日 | 開いている | 開いている |
※いずれも土日と重なった場合を除きます。
つまり12月29日・30日は、役所は閉まっているが銀行の窓口は開いているという状態になります。年末に「振込は間に合ったのに書類の提出が間に合わなかった」ということが起きるのは、この2日間のずれによるものです。
なお1月4日が土日にあたる年は、その分だけ後ろにずれます。年末年始の予定を立てるときは、その年のカレンダーで曜日を確認することが欠かせません。
提出期限が休日に当たったら
行政手続きについては、期限に関する特例も定められています。
第二条 国の行政庁……に対する申請、届出その他の行為の期限で法律又は法律に基づく命令で規定する期間……をもつて定めるものが行政機関の休日に当たるときは、行政機関の休日の翌日をもつてその期限とみなす。
期限が役所の休日に当たった場合は、翌日が期限になります。
ここは民法の一般ルールと対照的な部分です。民法142条では、末日が休日でもその取引に休日の慣習がある場合に限り翌日に満了する、という条件つきの規定になっています(詳しくは「初日不算入」とは?契約書の「〇日以内」の正しい数え方をご覧ください)。
これに対して行政手続きの期限は、条件なしで翌日に延びると定められています。窓口が閉まっていて物理的に提出できない以上、当然の扱いといえます。
営業日計算ツールで注意したいこと
このサイトのぱぱっと営業日計算が除外するのは、土曜・日曜と、内閣府が公開している祝日データに含まれる日です。
そして12月29日〜1月3日は祝日ではありません(1月1日の元日を除く)。そのため、このツールでは通常の営業日として数えられます。
役所や銀行の窓口を前提にした期限を確認したい場合は、次のように補正してください。
- 役所の手続き → 12月29日・30日と1月2日・3日を除外する(土日と重なる場合を除く)
- 銀行の窓口 → 12月31日と1月2日・3日を除外する(同上)
会社ごとの休業日を含め、暦の休日と実際の営業日が違うという話は営業日・稼働日・平日の違いをスッキリ整理でも整理しています。
まとめ
- 役所の休日は行政機関の休日に関する法律で、土日・祝日に加えて12月29日〜1月3日
- 銀行の休日は銀行法15条と同施行令5条で、日曜・土曜・祝日に加えて12月31日〜1月3日
- 銀行法は「休日は……に限る」と書かれており、銀行が自由に休業日を決められるわけではない
- 違いは年末の2日間。12月29日・30日は役所は休みだが銀行は営業している
- 行政手続きの期限が役所の休日に当たったときは、条件なしで翌日が期限になる(民法142条の条件つきの規定とは異なる)
- 営業日計算ツールは年末年始を祝日として扱わないため、必要に応じて手動で補正する
土日・祝日を除いた営業日の計算はぱぱっと営業日計算でご利用いただけます。
なお、この記事は国の行政機関と銀行についての一般的な整理です。地方公共団体の休日は各自治体の条例で、金融機関ごとの窓口対応時間は各社の規定で定められています。個別の窓口の営業日・受付時間については、それぞれの機関にご確認ください。